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損害保険×理系人財

~デジタルが保険と社会をイノベートする~

2022.1.10

読み終わるまで:3分

デジタルスキルを備えた理系人財の新たな活躍の場

損害保険業界では今、理系の素養・専門性を備えた人材が広く求められている。世の中で生じる様々なリスクに対して損保会社が提供する新たな商品・サービスに、ビッグデータやAIを用いた分析はもはや不可欠。損害保険分野で事故・災害の発生頻度や損害額などを統計的に分析して商品開発を行う専門職「アクチュアリー」をはじめ、災害モデルの検討やリスク評価に基づく商品開発など、デジタルスキルを備えた人材が欠かせないのである。

こうした背景を踏まえ、今回、三井住友海上火災保険株式会社で働く3人の社員に注目してみた。同じ理系専攻でも、学生時代に培った学びの中身はそれぞれ違う。

Iさんは、大学と大学院で経営工学および人間工学を専攻。ヒューマンエラーと安全マネジメントを研究し、企業の現場でのデータ収集・工学的分析に携わった経験をもつ。Kさんは情報理工学科で情報処理を学び、Nさんは大学院で脳神経手術ロボットの開発・設計プロジェクトに参画していた異色の理系学生だ。「三井住友海上では医学部の学生も採用していると知り、 活躍されている方の話を聞いて“楽しく働けそう”と思ったのが決め手になった」と語る。

デジタルスキルを備えた理系人財の新たな活躍の場

損害保険×理系人財が生み出すサービスが社会を変える

保険というものは、基本的に約款という契約書から成り立っており、どんなときにいくらの保険金を支払うかが決まっている。保険の商品開発においては、保険の対象範囲や保険金の額など様々な要素を決める必要があり、なかでもお客様が支払う保険料の金額設定をする際に、アクチュアリーが専門職としての真価を発揮する。

事故が多ければリスク評価も比較的簡単だが、事故そのものが少なければニーズの有無やリスクの大きさの評価が難しくなる。業務には常に理系的な思考能力が必要で、Nさんは「統計学や確率論の知識を総動員している」と笑った。

営業部に所属するKさんは、デジタライゼーションの取り組みを強化中だ。「CSV」×「DX」の活用で社会課題を解決することを目指し、大学時代に専攻してきた情報関連の知識が生きる場面が多くあるという。デジタル分野に強みがあることは、営業職として大きな武器になるということだ。

入社8年目のIさんは、IT戦略やシステム部門の方針の検討などを担当するIT推進部のIT企画チームに所属。ITの知識やExcel関数など、大学時代に身につけた数値分析のスキルを活用し、中長期的な視点でのコスト変動予測を分析している。併せてデジタライゼーションも担当しており、2020年2月にはAIを活用したMS1 Brainという代理店業務の支援システムをリリース。今年4月には、コロナ禍での非対面の手続きを行うリモート版もリリースした。

損害保険×理系人財が生み出すサービスが社会を変える

未来型の安心安全な社会を創造していくために

彼らの活躍ぶりでも分かるように、理系とは縁遠いと思われがちだった損害保険業界のイメージは、今や大きく様変わりした。三井住友海上では、IT推進部やデジタル戦略部、そして最近創設されたビジネスイノベーション部で理系の社員が約4割を占めるといい、理系人材が活躍する印象が薄かった以前の保険業界とは、まさに隔世の感さえある。

確率論や統計論などの数理的手法を駆使し、将来のリスクの発生確率を分析する「アクチュアリー」としての活躍はもちろん、新たな商品開発やDX推進の点で理系人財は重要な役割を担う。世の中のあらゆるリスク評価を最新テクノロジーと融合させ、未来型の安心社会を創造していくために、今後彼らの力がいっそう必要とされていくに違いない。

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URAYOMI

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