家電の修理補償は長くしたい?
~ネットショップの弱点、長期保証~
2021.11.11
読み終わるまで:3分
家電×ネット通販市場拡大の裏側にある落とし穴
近年、通販市場の拡大がすさまじい。2021年8月に日本通信販売協会が発表した2020年度の通販市場の売上高は、前年度比20.1%増の10兆6300億円と初めて10兆円を突破した。10兆円というのは、実に百貨店の倍以上、コンビニエンスストアの市場に匹敵する規模というからすごい。なかでも目立つのは家電系の躍進。多くの小売業界がコロナ禍で苦境に陥るなか、家電をはじめとしたインターネット通販はまさに「独り勝ち」の状態だ。
一方で、ネットで家電製品を買う際に、多くの人が感じたことがあるのではないか…? それが、「故障したときの心配」である。
リアル店舗で家電を購入した場合、長いスパンでの故障が心配なら、その場で3~5年の延長保証が付けられる。けれどもネット通販の小規模出店者の多くには、長期の修理補償が備わっていない。これだけネット通販が伸びている消費市場で、この不便さはネックの一つとされてきた。
多くの家電量販店と比べても、ネット通販は人件費がかかっていないから価格が安い。だからやっぱりネットで買いたいが、この点を心配する人が少なくなかった。商品と店舗の関係が、「売ったら終わり」というのはネット通販の常ではあるものの、故障の心配が伴うことで、購入をためらう人もきっといるだろう。家電をネットで買ったときの長期補償…それって、何とかならないものだろうか――。
「大手の家電量販店に対抗できる、「保険」の新たな仕組み
そんなネット通販の弱みを打ち消す、修理補償の長期化が実現した。ヤフーと三井住友海上火災保険は2021年12月に、ヤフーが運営するECサイト「PayPayモール」「Yahoo!ショッピング」で購入した家電製品が故障した際、修理サービスなどを受けられる「あんしん修理保険」を始めた。
補償期間は最大5年間、購入価格5,000円から50万円(いずれも税込)の商品が対象である。これによって、モールに出店する個人店や中小企業のショップにも、大手の家電量販店に対抗できる強力な仕組みが整備された。
次代のネットビジネスを創る新たなアドバンテージになる
ネット通販を後押しするこうした仕組みづくりは、ビジネスの新たなイノベーションの後押しにもつながるものだ。いま、ネット通販で販売した際の顧客情報をデータ化し、ユーザーとダイレクトに長期的な関係性を構築していくD2Cのモデルが浸透しつつある。ネットを中心としたDX(デジタルトランスフォーメーション)によるインフラ整備が進み、販売時に得た顧客データをもとにして、消費者に直接アプローチしやすくなったのである。
顧客データを活用することで、たとえば故障が生じた際のアフターフォローにも機動的な対応が可能になる。そこに、商品の長期補償を担う「保険」がリンクすることで、顧客サービスに新たな価値が生み出せやしないか。それはきっと、未来のネットビジネスを創る新たなアドバンテージになるものだ。
DXおよびD2Cモデルの進化に、保険という普遍のインフラを乗せていくことで、家電を軸にしたネット通販の市場価値は今後いっそう高まるはずである。
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URAYOMI
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