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「働く環境」を「ネットワーク」を、
「イノベーション」を「創る」

〜企業内コワーキングスペースって?〜

2021.11.22

読み終わるまで:2分

三井住友海上火災保険株式会社
人事部 企画チーム 課長 データサイエンティスト
足立 信吾

カフェのように自由で快適な企業内コワーキングスペース

今、街中に急激に増えつつある「コワーキングスペース」。デスクや会議室などのオフィス機能を備えているが、いわゆるシェアオフィスとはちょっと異なる。パーティションのないオープンスペースが特長で、会員同士が自由に交流できることが最大のメリットだ。主にフリーランスワーカーや起業を目指す人、あるいは副業の拠点などに利用されている。

ところが最近、このコワーキングスペースを社員のために自社内に設ける企業が増えている。三井住友海上火災保険もそのひとつだ。本社ビルの中層階、ゆったりとしたスペースはまるでカフェかホテルのラウンジのよう。明るい窓際の席でパソコンを開く人もいれば、半個室のブースで作業に没頭する人もいる。コーヒーの香りが漂うのは、シアトル系有名カフェがテナントで入っているから。昼時には軽食も提供している。このスペースについて、人事部で「働き方改革」を担当する足立真吾氏にお話をうかがった。

カフェのように自由で快適な企業内コワーキングスペース

思わぬコミュニケーションの中からアイデアが生まれることも

「一言でいえば、選択肢を増やすということです。」
足立氏は、設置の目的をそう説明してくれた。
「今までは、みな同じ場所でデスクを並べて、同じような環境で仕事をしてきました。でも、同質・均質なものからはイノベーションは生まれません。もっと多様性があるべきなのではないか。働く場所も、もっと選択肢があっていいということなのです。」

足立氏自身の働き方はこんな感じだ。まず、メインは在宅でのリモートワーク、週のうち3日は在宅だ。出社するのは週2日だが、そのうち1日は所属部署のあるフロアへ。といっても執務フロアはフリーアドレスなので自分のデスクはない。この日は「対面で話したい業務」をまとめてこなす。「難易度が高そうなもの、交渉事、あとはブレストやアイデア出しなど」だ。あとの1日はコワーキングスペースに〝直行/直帰〟、部署には立ち寄らない。

「ここでの仕事内容は、在宅のときと変わりません。環境を変える、というだけです。在宅はたしかに集中できますが、ずっとひとりだと煮詰まってしまうこともありますよね。」
たしかにそうだが、だったら街中のカフェでもよいのではないか。
「カフェでは、会話は生まれませんよね。ここにくれば、顔見知りの社員に「どう、最近?」などと声をかけたり、雑談にもなることもあります。そこからなにかヒントを得ることも多いんです。」
なるほど、まさにこれこそが〝企業内コワーキングスペース〟のメリットだ。

「同じ会社の社員同士でも、部署が違うとなかなか接点がないものです。でも、ここに来るといろいろな部署の社員がいるので、雰囲気もわかるし、話もできる。ネットワークがリアルにつながる。つながれば自然と広がる。こうしたコミュニケーションの中から生まれたものは、いわゆる机上の空論になりにくい。そこに価値があると思います。」

思わぬコミュニケーションの中からアイデアが生まれることも

企業内コワーキングスペースは自律・創造的に行動したい若い世代へのメッセージ

カフェのような快適なスペースは、たんなる社員サービスではなかった。イノベーションを創出するための、巧妙な仕組みなのだ。
「ここを拠点に、ウェブを介して北海道から沖縄、海外までつながることができる。普段出会わないものが出会うことで知の融合のようなものが起こることを期待しています。」

もちろん利用する側にも、こうした多様性に対応するマインドが求められる。
「選択肢が多いということは、思考停止していてはダメだということです。朝起きていつものスーツを着て電車に乗る、ではなく、今日は在宅か、フロアに出社か、コワーキングスペースか、働き方を自分で考えて自分で動く。従来なら、決められた場所で、全員が集まって仕事をするというのが普通でしたが、今の若者たちの考えはそうではありません。選択肢はいろいろあってほしい。スペシャリストになりたい、自分の行きたい部署に手を挙げたい、社内でこういう活動を立ち上げたい・・・それらを自律的に選択する、それが働くこと、なにかを創造することの前提条件だと考えている。だから企業の側も、それを提供してあげる必要があると思っています。」
そう言って足立氏は取材を締めくくると、その場でパソコンを開き、コーヒーを片手に今日の仕事に取り掛かった。

企業内コワーキングスペースは自律的に行動したい若い世代へのメッセージ

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URAYOMI

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