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地方創生の要諦はM&Aにあり!?

~事業承継と企業成長の切り札に~

2021.12.3

読み終わるまで:3分

企業における後継者不足は、地方経済における喫緊の課題

2021年11月21日、沖縄である会合が開かれた。国や沖縄県などが設定した「事業承継啓発月間」に合わせて、沖縄県内金融機関や関係団体のトップらが集結。全国的にみても後継者の不在率が高い沖縄の現状を踏まえ、地域の各機関が支援の取り組みや連携を強化する必要性を確認し合った。

企業における後継者の不足は、沖縄のみならず、いまや地方経済での喫緊の課題となっている。たとえば中小企業の経営者の年齢分布をみてみると、1995年には47歳がピークであったのに対し、2015年は66歳に上昇するなど経営者年齢の高齢化の進展が明白だ。加えて、休廃業や解散した企業の経営者年齢構成比では、70代と80代以上の経営者年齢の割合が増加。(いずれも帝国データバンク調べ)経営者の高齢化や後継者不在によって、廃業や解散に追い込まれる企業が増え続けている。

説明するまでもないが、地方にはオンリーワンの技術をもつ優れた老舗企業が多くある。地方創生が日本経済再生のカギを握ると言われる今、地域の活性化に欠かせないのが、地元の経済を支える地場の企業だ。にもかかわらず、近年日本で増え続ける後継者不足の問題…。こうした状況を背景に、後継者不在による廃業を避けるための手段のひとつとして、いまM&Aによる事業承継の重要度が増している。

企業における後継者不足は、地方経済における喫緊の課題

積極的なM&Aが、地方経済を成長へと導くカギになる

ふつう事業承継といえば、社長の親族が継ぐものとイメージする人が多いかもしれない。けれども、事業承継の手段としては第三者への譲渡(売却)も当然あり得る。他社に事業を譲渡してその企業の技術やノウハウを後につないでいくM&Aは、後継者問題解決のための有力な手段のひとつになるものだ。加えてコロナ禍の影響もあり、中小企業の事業多角化や、大企業の新規事業開発などを目的としたM&Aも右肩上がりで推移している。

実はこれまでの日本は、こうしたM&A型の事業承継を促していくような仕組みや考え方が立ち遅れており、他の先進国と比べても、経済社会自体に十分に浸透していない側面があった。それがようやく、様々な環境整備が為されつつある。

たとえば三井住友海上では、中小企業のM&Aや事業承継にまつわるトラブル回避に有効なデューデリジェンスの普及を推進し、不測のトラブルが生じた際の専門家への相談費用等を補償する保険を開発した。これによって、事業承継を考える企業や、事業買収によってビジネス成長を図りたい企業は、安心して積極的なM&Aへと打って出ることができる。

地方に新しい産業や事業をつくれば、雇用が生まれ、間違いなく経済は活性化する。その役割を担うのは、地場に息づく優れた技術やサービスを持った企業であるはず。だからこそ、決して後継者不足などで廃れることがあってはならないのだ。後継者問題を解決するための事業承継を促す仕組みを社会につくるとともに、M&Aによって事業を魅力付けし、企業を成長へと導いて地域を活性化させることが、これからの日本経済の牽引力になるはずだ。

積極的なM&Aが、地方経済を成長へと導くカギになる

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URAYOMI

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